2013年1月3日木曜日

インタビュー記事:外交官から見るセブ

こんにちは。セブタイです!
結構期間を開けてしまいましたが、どんどん記事を公開していこうと思います!

インタビューの第二弾はセブ島の領事館で働いておられる秦さんです!
正式な名称は「在フィリピン日本国大使館セブ出張駐在官事務所」で、セブの中心地と言われるAyalaの近くのオフィスビルにあります。
トラブルにあった方など、訪れたことのある人は多いのではないでしょうか(多くないほうがいいんですが…)
当初の予定では1時間ほどのインタビューだったのですが、2時間もお話させて頂きました!


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Profile

秦義昭
中央大学を卒業後、外務省に入省。
その後、オーストラリア・シドニーやスリランカ、アメリカ・ロサンゼルス、台湾、イエメン、ロシア・モスクワ、セブなどの国々に外交官として滞在。
短期滞在も含めると行ったことのある国は70ヶ国を超える。
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秦領事殿、本当にありがとうございました。
「外交官」としてセブで働くこと、セブで働くときに重要なことなどを沢山お教え頂きました!
前置きが長くなりましたが、それではどうぞ!

過去について

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「仕事を通じて英語を話せるようになった」


ーどちらの大学に通っておられましたか
↑秦領事
秦 中央大学に通っていました。

ー英語は学生時代はどの程度話すことができましたか


秦 英語に関心ってものはあったんだけどね(笑) 話すことはほとんどできませんでしたよ。今は日本語と英語を主に使っていて、台湾に勤務していたこともあり、日常会話レベルなら中国語も多少喋ることができます。

ーどのように英語が喋れるようになりましたか


秦 僕の場合は仕事を通じて得た経験というのが大きいかな。仕事上、色々な国へ行って色んな国の人と仕事をしますので。英語はロサンゼルスに仕事で行った時にだいぶ勉強しましたね

ーセブで働くことになった経緯やきっかけは何でしょうか

秦 外交官というのは勤務先を好き勝手選んで、自分の行きたい国に行けるわけではありませんので、本当に偶然ですね。異動する人の能力や各国の情勢、ニーズなどを外務省の人事当局が見極めた上で異動先を決めています。経験で言うと、勤務地の約半分は自然環境などの悪い国や地域で、それ以外は自然環境などの良い国だったりしますね。また、それぞれの国には平均で3年ほど務めることになります。

ー異動先は向き、不向きを考慮した上で平等になるよう決められているんですね。その中で偶然配属されました、セブに対してはどのような第一印象を抱かれましたか?

秦 まず感じたのは人が明るいということですね。あと、気候も暑くて自分に向いていると思いました。そして私は海が好きだから、何から何まで好印象だったね。でも、貧富の差とかを目の当たりにすると、「貧しい中でも頑張って生きている人がいるんだ」と思えて、セブでの仕事もできる限り頑張ろうと思います。


現在について

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「セブ市は横浜市とJICAの協力を得て環境問題に取り組んでいる



ー現在の仕事内容をお教えください。


↑ ジャパン・フェスティバル(2012年8月)の感謝状と盾
秦 セブ州他、管轄の地域にいる日本人の安心・安全確保や、邦人社会・セブ側・官・財・文化人などとの各種交流等が主な仕事です。最近だと語学学校をやっている皆さんに集まっていただいて、地震や台風がきた場合や生徒さんが犯罪に巻き込まれた場合の対処法などを共有しています。日本の語学留学生が増加傾向にあるため、安全対策は全語学学校共通の利益です。

ーなぜ「語学学校の生徒」の安全対策を強化しているのですか?他にもセブにいる邦人はたくさんいらっしゃると思うのですが…

秦 セブには約三千名弱の日本人が在住していて、そのような組織などに属している方々の安全対策は第一義的にはそちらにお願いしています。しかし、犯罪や事故に巻き込まれた時、留学生には頼る組織がないからです。

ーなるほど。こちらに在住している方には日本人会や商工会がありますからね。先ほど語学留学生の数が増えているとのことですが、やはりセブに来られる日本人は全体でも増えてきているのでしょうか

秦 急速に増えてきていますね。旅行者は昨年の16万人に比べ、26%増え20万人に達する見通しで、どんどん増加していく傾向にありますね。

ーなぜ日本人が増えてきているのでしょうか。

秦 時節柄、中国と韓国への観光客が減少していることと、セブへの語学留学生の増加などが主な要因でしょうね。また、日本から4時間ほどで来ることができる手軽さというのも要因の1つでしょう。セブはダイビングスポットとして世界的に有名ですし観光資源も豊富なので、ぜひ多くの方に来て頂きたいですね。

ーそれらに伴ってビジネスの熱も高まってきていると思うのですが、いかがでしょうか

 セブには150社ほど、その中でも経済特区には90社ほどの日本企業がありますからね。常石造船、ミツミ、太陽誘電、PENTAX、TAMIYAなど、多くの企業がこちらに工場を置いています。手先が器用で優秀な人材も多く、比較的自然災害が少ない、人件費が安いといった利点があげられます

ーなるほど、ということはこれからは単純に工場が増えるだけでなく、他の地域からの移転もありそうですね。

 はい。タイにあった日本企業の工場が、大洪水の影響を受けてほとんど操業できなかったのは記憶に新しいと思いますが、それらの企業がリスク分散を目的として、今フィリピンに工場を物色しているとの話も聞いています

ー先日はかなり大きい台風がありましたが、確かにほとんどの台風はセブの北側や東側を通過していくのでほとんど影響がないですよね。セブの環境問題への対応はどうですか。

 セブ市は横浜市とJICAの協力を得て環境問題に取り組んでいるんですよ。セブと横浜は工業港があったり、急速な都市化が進み人口集中が起こったという点で、すごく似ていると思うんです。横浜市の持つ上下水道や大気汚染を改善するノウハウを活かして、セブの問題を解決しようということです。

ー確かに、セブの上下水道や大気汚染は深刻ですし、素晴らしい取り組みだと思います。


将来について

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国際交流マインドを持って欲しい


ー今後もセブに滞在する予定はありますか

 任期が続く限りはここで仕事をしたいですね。

ーそうですか。これからもお世話になると思うのでよろしくお願いいたします。セブでのお仕事の目標などはありますか?


 日本人が安全にセブに滞在したり、気軽に観光でセブに来れるよう安全対策を強化していくことですね。これはセブ側当局も対応しますので、より緊密に連携していきます。


ー学生へメッセージをお願いします


秦 大きな夢を持って視野を広げて、人間を大きくして欲しい。どんどん海外へ出ていって、自分の能力を試して磨いていって欲しいと思います。日本の英語力を今以上にあげることにも大いに賛成です。どんどん勉強して能力をつけて、それを試して欲しいですね。


ーセブで働きたい人へメッセージをお願いします 

秦 基本的には、先程学生さんへ向けて言った言葉と同じですね。自分の行動に責任をもって1人1人が日本人の代表なのだと意識してほしい。そして何かビジネスをやるのなら、単なるビジネスの場としてフィリピンを見るのではなく、フィリピンの全体像に目をつけてください。

ーそれは何故ですか?

 ビジネスを通じて現地の方々と融和することが大事だからです。こちらの文化や生活、問題に関心を持ち、コミュニティ活動にも参加するなど国際交流マインドを持って欲しいですね。

ーなるほど。ただ条件が良いからと言って、フィリピンのことを理解せずにビジネスを初めるのは良くないですね。実際に日本企業はどのように地域貢献しているのでしょうか。

 まず日本企業がこちらに工場を作ること自体が、かなり大きな雇用の創出という役割を果たしています。一万人以上ものフィリピンを雇用している企業もいくつかあると聞いています。また、工場を置いている地域の近くに学校を作った企業もありますし、その他の企業もかなりボランティア活動に力を入れているようです。

ーこちらに工場を作る、というのは現地の方にとっても嬉しいことなのですね。

というわけで、今回はセブの秦領事でした!ご覧いただきありがとうございました!
今回はキャリアよりもセブの状況というものにスポットを当てて記事を書いてみました。
次回は単なるインタビューではない記事を書くかも…?!
お楽しみに!

ライター @UnderwoodP


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